Directed Editing Policy 私家訳

OpenStreetMapプロジェクトのDirected Editing Policy(https://wiki.osmfoundation.org/wiki/Directed_Editing_Policy)の2018/08/21版勝手訳です。最新の内容は本家ページで確認ください。本家と同様にCC BY-SA 2.0となります。

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本文書はレビュー途中です。現時点ではOSMFの正式なポリシーではありません。

指示編集(Directed Editing)に関するOSMFポリシー

 OpenStreetMapはコミュニティの力で成り立っているプロジェクトです。基本的には個人によるマッピングが主なものですが、OSMが拡大するにつれて団体でマッピングする事例も増えてきました。団体でのマッピングは、地域や目的を限定し、企業活動としてOSMデータを入力するケースや、学校の授業でOSM編集をおこなう無償のケースなどがあります。
 今日においては、団体でのマッピングOSM活動に欠かせないものであり、適切に活動が実施される限りにおいては、OSMをより良くし、広めていく助けとなります。
 個人レベルのコミュニティメンバーと団体マッピンググループは、平等な関係の下で十分なコミュニケーションが取れることが必要です。そのために、OSMFは以下のようなガイドラインを作成しました。
 この文書で使われている「しなければならない(must)」「する必要がある(should)」「してもよい(may)」という言葉は、RFC2119に準じています。また「推奨する(encourage)」という言葉は、マッピング団体がOSMコミュニティの模範的な一員としてあるために提案する内容であることを意味しています。

このポリシーはいつ適用されますか?

 このポリシーは、ある人が
a) 第三者からOSMの編集を要請された
b) 第三者からOSMに対して何をどのように編集するのか指示された
場合に速やかに適用されます。

(注:ある人がほかの人に従うケースはいろいろです。OSMを編集するよう要請された場合でも、給与が支払われ業務で実施するケースや学校の授業に参加するケースなどがあります。こういったケースでは多くの場合、何を編集するのか指示されることが多いでしょう。しかし、編集することを指示されたとしても、何を編集するのか指定されないこともあります(学校の自由課題授業など)。逆に、編集することは指示されていなくても、何を編集するのか指定されることもあります(新人向けマッピングイベントなど)。
特定の事例でb)が適用されるのか判断が難しい場合は、責任の所在から判断することもできます。マッピングされた内容に関して責任を持つのは、運営者でしょうか?参加者でしょうか?なお、同じマッピングイベント内でも、"指示された"参加者と"指示されていない"参加者の両方がいる場合もあります。)

 以下の文書で「指示者」は、ある人にOSMの編集を要請する、もしくは指示書を提示する人もしくは団体のことを指す一般用語として使います。編集を要請される、指示書を受け取り、OSMを編集する人のことを「指示を受ける人」と呼びます。
 SEO企業やブランド管理者は、ビジネスとしてマッピングを請け負うケースもあります。その場合は一人のマッパーが指示者と指示を受ける人の両方を兼ねることになります。

(例:「指示者」としては、マッパーを雇用する企業、学校の授業をおこなう先生・教授、マッピングイベントのオーガナイザーなどが該当するかもしれません。「指示を受ける人」としては、雇われマッパー、生徒、マッピングイベント参加者などが該当するかもしれません。OSM経験者に費用を支払ってマッピングする場合は、OSM経験者が指示者と指示を受ける人の両方を兼ねることになるでしょう。)

A. 指示者の義務

1. wikiに"Directed Editing/Activities/活動名"というページを作り、、"Directed Editing/Activities"(サンプルページ作成中)にある活動一覧に記録しなければなりません。ページには以下の内容を正しく記載しなければなりません。

  • 活動のゴール。ゴールを目指す理由の説明。
  • 活動のスケジュール
  • 活動で使用する、一般的でないツール、データソース
  • 実施組織
  • 指示者とのコンタクト方法(下記の「コミュニケーション」も参照)
  • ハッシュタグ(変更セットのhashtagタグ、または別のタグにつけるもの)
  • 参加者

 あなたの団体が多くの活動を進めている場合、団体のページを作成して共通事項をまとめ、各個別活動のページにリンクを貼ってもかまいません。
 (注:このポリシーはまだ固まっていません。すべてのケースをカバーすることは難しいものです。例えば、指示者が大学で、指示を受ける人は"週1.5日OSM編集する"条件の労働者であるといったケースも考えられます。スケジュールやゴールはどう設定すればよいでしょうか?こういったケースでは、「ベストエフォート」アプローチで記載してください)

2. wikiページには以下の内容を記載することを推奨します

  • 参加者のパフォーマンスを何等かの指標で評価する場合、その評価基準の説明
  • 参加者向けの学習資料や指示書を作成した場合、資料を掲載する
  • 活動が完了したのちに、結果を記載する
  • 活動で使用する一般的でないツールやデータソースに他のコミュニティメンバーもアクセスできるようにする

3. wikiページを作成したあとで、活動を開始する前に、関連するOSMコミュニティに向けて"talk"メーリングリストで連絡を入れる必要があります。活動が一つの国や地域に限定される場合は、その地域のメーリングリストやコミュニティが使用しているチャンネルに連絡する必要があります。議論には十分な時間を確保し、コミュニティから改良提案があった場合は十分検討する必要があります。
 (注:議論の期間は14日以上とすることを推奨します)
 (注:念のためですが、コミュニティの明確な承認は必ずしも必要ではありません。ただし、正当な批判を無視して活動を強行したり、コミュニティに相談せずに後で編集内容に問題が発覚した場合、活動は停止されることになります。)

4. あなたが指示している人が作業を正しく行えるよう、指示を受ける人が下記に示すルールに準じた形で訓練を受けていることを確認する必要があります。自分で訓練してもよいですし、十分な技能を持った人のみを採用する形でも構いません。あなたが指導している人に対し、「指示を受ける人の義務」(次章に記載)が適用されることを伝えなければなりません

5. 新規マッパーにOSMを紹介する活動を行っている場合、あなたは「イベント後のクリーンアップ」にリソースを割く必要があります。熟練マッパーに指示して、破損されているデータを修正するようにします。
(注:ここで言う「リソース」とは、熟練マッパーの時間を割り当てることや、ローカルコミュニティからの支援の確保を意味しています。何らかの問題が発生した場合に、何の対応計画もない状態で学生たちに好き勝手やらせるようなことがないようにするということです。)

6. プロジェクトページに記載したチャンネルを通じて他のマッパーから誠実な連絡が来た場合、あなたは適時、分別を持ったやり方で回答しなければなりません。また、指示を受ける人からあなたに提起されたコミュニケーションに対しても同様に回答しなければなりません
(注:「適時」とは、活動が進行中の場合は24時間以内に回答する必要があることを意味します。「分別を持った」とは、『連絡ありがとうございました』と返事するだけでなく、どのような質問に対しても実際に回答することを意味します。)

B. 指示を受ける人の義務

1. あなたの編集内容を見た人が、この編集は指示編集(Directed Editing)の一部であることが認識できるよう、wikiの"Directed Editing/Activities/活動名"ページへのリンクを貼らなければなりません。リンクを貼る場所は、ユーザアカウントのプロフィールページや、変更セットのhashtagタグが適しています。
(指示者との関係が長い場合は(雇用関係にある場合など)、プロフィールページに記載する必要があります。指示者との関係が一時的な場合は(マッピングイベントなど)、hashtagタグなど変更セットに記載する必要があります。)

2. コミュニティが期待するマッピングマナーを遵守するよう心掛けなければなりません。例えばグッド・プラクティスに記載されているような内容です。中でも、変更セットに良いコメントをつけることはマッピングマナーの中で特に重要です。
(注:趣味で新しく始めたマッパーは、上達するまでは多くのミスを犯してしまうものです。はじめの一歩は完璧ではないかもしれませんが、問題ありません。しかしながら、あなたに指示者がついていて、質問できたり説明してくれたりする状態なのであれば、自分で勉強してマッピングする人よりももう少し上手にやってくれることが求められます。)

3. あなたの活動を隠そうとしたり、活動を意図的に追いにくくしたりしてはいけません。例えば、多くのアカウントを使ったり、変更セットコメントで誤読させたりすることが該当します。
(注:透明性を損ねるような望ましくない方法としては、誤読させるようなユーザ名を使う、ユーザ名を頻繁に変更する、極端に大きかったり極端に小さかったりする変更セットを作成する、議論で不誠実な態度をとる、間違ったソースを指定する、といったものが挙げられます。偶然これらに該当することは起こりえますが、意図的にやってはダメです。)

4. 変更セットの議論やダイレクトメッセージ(またはEメール)を通じて、他のマッパーが誠実にあなたに連絡してきた場合、あなたはタイムリーにかつ賢明な方法で返答しなければなりません。あなたが返答できない場合は、あなたの指示者に問題を上げなければなりません。
(注:「タイムリー」とは、過度な負担にならない範囲において新しく変更セットを始める前にメッセージに対して返答する必要があることを意味します。このような場合は、作業時間から返答するための時間を確保したほうがよいでしょう。また、「賢明な」とは、どのような質問に対してもきちんと返答し、「ありがとうございました」と返答するだけではダメであるという意味です。)

コミュニケーション

マッピングに関するコミュニケーションはすべて、以下の性質を持ったチャンネルを使う必要があります(指示者、指示を受ける人のどちらも)。

  • オープンである(OSM以外の登録は不要である)こと (open)
  • 公開されていること (public)
  • 記録が残ること (archived)

OSMフォーラム、メーリングリストwiki、変更セットなどはこの要求事項をすべて満たしています。プライベートメッセージ(OSMのメッセージ機能やEメールなど)を使うこともできますが、例外的であることを認識しなければなりません。特に、個人的な内容でない場合は、公開の場からプライベートメッセージに議論を「移動」しないようにしてください。

このポリシーに違反した場合

このポリシーに違反した場合、編集内容はリバートされる可能性があります。場合によってはデータワーキンググループに報告されることもあります。団体からの違反が重大で繰り返し行われた場合は、OSMから追放されるかもしれません。