分散電源vs集中電源 熱回収効率編

前回*1発電効率について比較してみましたので、今回は熱について検討してみます。お湯のことです。
分散電源のメリットとして一番大きいと思われるのは、発電時に生じた廃熱を別の用途にうまく利用できる可能性があることです。家庭用ならお湯として使えます。ここではどれくらいお湯を取り出せるのかを計算します。本当は熱の温度レベルを考えないといけないんだろうけど、とりあえず無視。

分散電源

ガスエンジン

ガスエンジンの発電効率は45.5%(LHV)でしたが、総合効率は80%(LHV)になるそうです*2。つまりお湯になる分は、
80%-45.5%=35%
です。これもHHVに直してやれば、
35%×0.9=32%
になりました。

燃料電池

燃料電池については前回も書きましたが、家庭用1kW機の発電効率は31%(HHV)、熱回収効率は40%(HHV)だそうです*3

マイクロガスタービン

これも前回書きましたね。発電効率27%、熱回収効率43%*4のHHV換算でそれぞれ27%×0.9=24%、43%×0.9=39%です。

ガス給湯器

発電はできませんが、お湯ってことで給湯器も比較に挙げてみます。従来型の給湯器が効率80.7%だったのに対して、潜熱回収型の給湯器は効率が95.2%だそうです*5

集中電源

集中電源タイプだと廃熱の利用はまずできません。発電所から家庭に温水パイプを引くなんて無駄以外の何者でもありません。ですが、高効率で作った電気からお湯を沸かすことはできますので、それを考えます。

電気給湯器

電気ヒーターでお湯を沸かします。エネルギー効率について書いてあるページがなかなかありません。唯一見つけたページ*6では90%となっていました。
発電所でいったん電気に変換して、それを電気給湯器でお湯に変えるので、効率はその分低くなります。
47%×90%=42%

ヒートポンプ

電気でお湯って言ったら、これからはヒートポンプでしょう。定格COPは4.5になっているそうです*7。つまり効率は450%。これも発電所の分を考えて、
47%×450%=210%
すごい。

まとめ

発電効率で作った一覧表に付け加えます。

種類 発電機器 規模 発電効率 熱回収効率 総合効率
集中電源 コンバインドサイクル 100万kW 47% 0% 47%
分散電源 ガスエンジン 5000kW 41% 32% 73%
分散電源 燃料電池(PEFC) 1kW 31% 40% 71%
分散電源 マイクロガスタービン 100kW 24% 39% 63%
分散電源? ガス給湯器(従来型) - 0% 81% 81%
分散電源? ガス給湯器(潜熱回収型) - 0% 95% 95%
集中電源? 電気給湯器 - 0% 42% 42%
集中電源? ヒートポンプ - 0% 210% 210%