母なる夜
「母なる夜」(カート・ヴォネガット・ジュニア、ISBN:4150107009)を読む。
なんでこういろんな面から突き刺してくるのか。読んでて少し悲しくなった。別の側面を見せられたのかもしれないが、もしかしたら同じものなのかも。
ストーリーそのものは平坦な感じ。飛んだりはねたりはなかった。
エンディングは少し疑問が。この人は自殺はしないと思うけどなあ。(自殺したとは明記されてないが)
気になったところ
「わたしがたたえるのは形式です」とわたしは言った。(P211)
しかし、自分の思考機械の歯車に並んでいる歯を、わたしが故意に一本でも折ったためしは全くない。自分に向かって、「こんな事実はなくてもすむぞ」と言ったことは一度もない。(P254)
わたしを身動きのとれぬ状態に追い込んだものは、どちらの方向へ進む理由も全くないと言う事実であった。(P260)
「人からどこへ行けと言われなければ動けない、今度はこうしろと言われるのをいつも待っている、何かしろと言われれば、だれの指図であろうと言われたとおりにする。はじめてじゃありません。アウシュヴィッツでこういう人を何千人も見たはずです」(P287)