ジェイルバード
「ジェイルバード」(カート・ヴォネガット、ISBN:4150106304)を読む。久しぶりのヴォネガット。
やっぱりいいものですね。この、体の中を空虚というか、黒いものというか、落ち着きがなくなるような、落ち着かせるような、よくわからんものがぐるぐる回っている感じ。読んだら何もせずにいたくなる。表面を這う物語と、それを支える暗闇。
わたしの貧困なボキャブラリでは表現が難しい。
とりあえず気になったところピックアップ
この自伝を書いていていちばん恥ずかしいのは、わたしが一度も真剣に人生を生きたことがないという証拠の数かずが、切れ目なくつながっていることである。(P180)
すべての幸福は宗教的なものだと、ときどきわたしは考えずにはいられない。(P203)
「ハートを持たずに生まれてきたのは、あなたのせいじゃないわ。すくなくともあなたは、ハートを持った人たちが信じていたことを、信じようとした−だからあなたもやっぱりいい人なのよ」(P223)
「菫画報」もちょっとそんな雰囲気があったかも。量は全然違うけど。