燃料電池は大型に限りますよ。 〜東芝モバイルFC
ちょっと前のニュースのようだけど気になったので。
東芝はモバイル機器用の燃料電池開発を盛んにやっているが、どんどんと小さなものができてきているようだ。
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2005_09/pr_j1601.htm
で、これについてちょっと検討してみる。
メタノール発熱量:22.6MJ/kg(HHV)
メタノール密度:0.79g/cm3
なので、体積あたりのメタノール発熱量は22.6MJ/kg×0.79g/cm3=17.9kJ/cm3
シリコン用だと燃料タンク容量が3.5cm3なのでタンクに入るメタノールの発熱量は17.9kJ/cm3×3.5cm3=62.5kJ
100mWで35h動かすのに必要な電力は、100mW×35h×3600s/h=12.6kJ
というわけで発電効率は12.6kJ/62.5kJ=20.2%
まぁそれなりに妥当な数字でしょうか。
でもまだまだでかい&重いんだよな。例えばRio(もう死んじゃったけど)の製品(http://www.rioaudio.jp/product/su70/index.html)だったら、東芝のよりもひとまわり小さいのに再生時間は同じ。
メーカー | 製品名 | サイズ | 体積 | 重量 | 再生時間 |
---|---|---|---|---|---|
東芝 | FC仕様試作機 | 35×110×20mm | 77cm3 | 78.5g | 35h |
Rio | SU70 | 34×84×18mm | 51cm3 | 42g | 35h |
燃料電池部のサイズが23×75×10mm=17cm3ってことは全体の20%なので、その分を削ってもRioと同じくらいのサイズにしかならない。かなり厳しい。
というかモバイル機器に燃料電池を使ってもそんなにメリットってないと思うんだけど。リチウムイオン電池で十分じゃないか?上の比較でも再生時間は同じくらいだし。リチウムイオン電池は再生時間を倍にするには値段が倍になるが、燃料電池ならタンクのサイズを増やすだけでいいので値段は変わらず再生時間を伸ばせるという意見もある。でも燃料電池ユニットそのものの値段がバカ高いだろうし、再生時間を100時間にするとしたらタンク容量だけで10cm3も必要になるんだぞ。小型のほうが良くないか?どうせ家に帰ったら充電するんだろ?あと、出先でメタノールを買って充電できるって言う人もいる。そんなあなたには乾電池式の製品をお勧めします。
新しい技術開発には夢が必要だと思うんだけど、小型燃料電池は全然夢を見せてくれそうにありません。
色々と言いましたが、燃料電池ユニットをこのサイズに押さえた技術はすばらしい。でもその適用はオーディオプレーヤーではないと思う。物の補給はできるが電力の補給が難しいような場所での使用…やっぱり軍用?