分散電源vs集中電源 発電効率編

分散電源と集中電源の発電効率を比較してみます。別のところで書いたように、燃料は天然ガスもしくは都市ガス方式の比較です。

集中電源

集中電源方式の平均発電効率は40%だそうです*1。ですがこの数字は古い発電所や石炭発電なども含んだ平均値です。天然ガス(LNG)を燃料にした新しい発電所では、100万kWクラスの発電効率は49.64%まで達しているそうです*2
分散電源に対する集中電源のデメリットとして送電ロスがよく言われますので、その分を差し引きます。送電損失率*3は2.3%、配電損失率*4は4.9%程度のようです*5。でもそれを合わせた送配電損失率は6.0%ってどういう計算なんでしょうね。ここでは6.0%を採用することにすれば、家庭まで電気を送ったときの実質的な発電効率
49.64%×(1-0.060)=47%
になりました。

分散電源

ガスエンジン

ガス発電の分散電源といえばガスエンジンです。5000kWクラスの発電効率は45.5%に達するそうです*6。でもここで気をつけないといけないのは、集中電源での発電効率はHHV基準で計算していたのに対して、ガスエンジンの発電効率はLHV基準で計算していることです。詳しい説明は省略しますが、LHV基準で計算された発電効率をHHV基準に直すと、発電効率の数字が10%下がります。つまりガスエンジンの発電効率(HHV)は45.5%×0.9=41%になってしまいます。
この規模のガスエンジンであれば地域配電に使うことも考えられますし、その場合は配電損失分を差し引く必要があります。でも今回は工場内の自家発電を想定して配電損失は無視します。もしかしたら計算間違ってるかも。

燃料電池

家庭用発電システムとして話題なのは燃料電池(PEFC)です。ガス会社ががんばっています。家庭用1kW機の発電効率は31%(HHV)、熱回収効率は40%(HHV)だそうです*7
今後、燃料電池の効率はどれくらい上がるのでしょうか。技術開発が進めばもちろん効率は上がると思いますが、普及のために低コスト化を狙えば効率が下がることもあるかもしれません。どうなんでしょう。

マイクロガスタービン

一時期非常に話題になりましたマイクロガスタービンです。中規模施設向け(?)の100kW機の発電効率は27%、総合効率(発電効率+熱回収効率)は73%だそうです*8。これもLHV基準のはず。HHV基準に直せば、27%×0.9=24%です。

まとめ

種類 発電機器 規模 発電効率(HHV)
集中電源 コンバインドサイクル 100万kW 47%
分散電源 ガスエンジン 5000kW 41%
分散電源 燃料電池(PEFC) 1kW 31%
分散電源 マイクロガスタービン 100kW 24%

発電効率だけを考えるなら、分散電源は集中電源にかないませんね。熱の利用も考えないといけません。