目に見えないもの

「目に見えないもの」(湯川秀樹ISBN:4061580949)を読む。
湯川氏のコラム集。読んでて少し悲しくなった。30歳かぁ…
文章はちょっと堅めだけど、面白かった。

百万ボルトは百万分の一・六エルグに過ぎないから、(P45)

ボルトじゃなくて、エレクトロンボルトだろ。物理だと単にボルトって略したりするのか?

しかし自然科学というものは本来、実体よりも、むしろ相互関係に関する知識を意味している。「物質とは何か」という問いに対しても、直接その実態を示す代わりに、多種多様な自然現象の間にいかなる一般的関係が存在するかを明らかにすれば、それで一応の答になると考える。(P55)

何がってわけじゃないけど、ちょっと引っかかるところがあったのでメモ。

科学の進歩は予想外の事実に直面すると、一旦停頓を余儀なくされる。しかしそれはやがて人間の思考方法に対する新しい可能性を啓発し、科学の異常なる飛躍を誘起するのが常である。(P57)

湯川氏による科学革命の表現なのだろう。

少数の人はしかし未来への設計に絶えず努力する。彼らの情熱を支持するものは科学である。科学は何が果たして可能であるかを教えてくれる。これこそは未来へ向かって開かれた唯一の窓である。(P119)

さすがと言うかなんと言うか、科学に対する慎重な態度とポジティブな態度のバランスがよく取れていると思う(上の文はポジティブな面ね)。このバランス感は、読んでて心地よかった。