タイムクエイク

「タイムクエイク」(カート・ヴォネガットISBN:4150114331)を読む。
この人の本は、フィクションとノンフィクションの境界がよくわからなくなる。だから、すべてフィクションだと思いながら読むようにしている。でもこの本はノンフィクションを多分に含んでいるってことでいいのかな?
それにしても、

きっとわたしは頭がおかしいのだ。(P12)

と言っているように、頭がおかしいんだろう。そうでないと、こんな本は書けん。最後のほうのガラクタ箱っぷりは、さすがという感じだ。

人気があるのはふたりだけで、その片方は画家、もう片方は短篇作家だ。科学者である末娘は、みんなから嫌われている。おそろしく退屈な話し相手だから! 末娘が話題にできるのは熱力学だけだ。(P35)

「科学はだれの気分も明るくしたことがない。人間のおかれた状況に関する真実は、あまりにも恐ろしすぎる」(P159)

<キルゴアの教義>が救った地球上の人命の数は、その二世代前にアインシュタインのEイコールmc自乗の方程式が奪った人命の数にほぼひとしい。(P247)

ここだけじゃないけど、なんか科学を毛嫌いしているように感じられるのだ。大学では科学(生化学)を専攻したようなのだが、なんでだろう。

消防車の運転手も、それを運転する仕事が自分の意思に任されたことに、まだ気づいていなかったのだ。(P119)

PTA(Post Timequake Apathy)ってのはなかなか面白いと思った。夢を見ているのか、目が覚めているのか、区別がつかない状態だとPTAになったりするんだろうか。