アンチ・ドーピング 98ツールのEPO陽性結果を公表

  • 以下考察
    • EPOは1990年に禁止されたものの、分析方法の問題から検査が始まったのは2000年からである*3。したがって、1998年時点ではEPOを所有していれば処罰対象になったと思われるが、服用した場合の処罰規定はなかったのではないかと思われる。つまり、今回名前が上がった選手についても、記録剥奪等の処分はないと考える。
    • サンプル母集団について検討する。cyclingnewsは、正式公開前ではあるものの、60サンプル中44サンプルが陽性であったと報じている*4。実際にはsuspiciousを入れても33サンプルが陽性であった(重複含む)。では60サンプルとは何か。
    • 98ツールでは21ステージが実施されている*5。ドーピングコントロール対象者は、ステージ勝利者、ステージ終了時の総合首位者、無作為2名となっており*6、各ステージで4サンプルが採取されることになる。したがって、総サンプル数は84となる。ただし、プロローグ、第7ステージ、第15ステージはステージ優勝者と総合首位者が同じ選手であるため、採取サンプル数は81と思われる。記事にあったサンプル数60と、ここで計算したサンプル数81の差は不明である。
    • 3選手は2サンプルで陽性と報じられている。ウルリッヒについては、8回は検査されたはずなので、特に矛盾はない。ハンバーガーは総合首位になったのは第3ステージだけである。リヴィングストンにいたっては、ステージ優勝も総合首位も取っていない。にも関わらず2サンプルで陽性が出たと報告されたのはなぜか。ランダム検査で当たりまくったとでも言うのだろうか。
    • ウルリッヒは8回、パンターニは7回の検査を受けたはずである。しかし、陽性と判定されたのはそれぞれ2回と1回である。つまり、他の選手についても、EPOを取っていたとしても検出されなかった可能性は高いと言える。そもそも検出感度が悪いのか、日数を開けるなど対処すればすり抜けやすいのか。
    • フランス議会の報告書原文を見ないことにはなんとも言えないことが多いなぁ。