(書きかけ)流言、デマに関する書籍のまとめ

定義

  • デマ:政治的な対立者を誹謗したり中傷したりする目的で悪意ある情報を捏造する現象*1
  • 流言、うわさ:自然発生的に生じ、またその内容に関心をもつ集団の中で広がっていく*2
    • 流言:その内容が社会的一般的であり、日常的な人間関係の枠組みを超えて不特定多数の間に広がっていく情報*3
      • 噴出流言:被害が壊滅的な場合におこる。感情により猛烈なスピードで広がるが、興奮が収まると急速に消える。*4
      • 浸透流言:被害が軽微な場合におこる。日常的コミュニケーションのなかでじわじわと広がり、長時間持続する。*5
    • うわさ:その内容が個人的であり、広がる範囲も、たいていは知人や友人など日常の人間関係の枠内にとどまっている*6

発生メカニズム

流言
  1. 情報の需要と供給のバランスが崩れた時に発生する*7
    • マスメディアの情報が、人々の情報ニーズを満足させないとき*8
    • (1)マスメディアの情報が相互に矛盾する、(2)マスメディアの情報と自分の知識が矛盾する、(3)理解不能な疑問が生じた*9
  2. 集団の共同作業によって作られていく*10
    • 情報に自分の観点を付け加えて伝える人、情報を評価する人、証拠を求める人、複数の解釈から一つを選んで集団に示す人、集団の行動を決定する人*11

特徴

流言
  • 発話内容の真実性をあまり重要視しない*12
  • 浸透流言は、しばしば権威を引き合いに出し、話に信用性をもたせる*13

その他

  • 地震予知は、本来ならばまず学問的に議論すべき問題であり、地震予知やそれに関わるデータを公表する前に、オーソライズされた評価委員会がそれを評価し、危険と判断した場合に行政機関に報告したり、必要とあらば一般公開するというルールがあればそれがもっとも望ましい*14
  • 原子力防災広報については、ひょっとしたら誤報かもしれないとか、施設からくわしい情報が入ってから伝えようとか、軽微な事象か大規模事故につながる事態かを見極めてから伝えようとかいう配慮は必要ないのではないだろうか*15

抑制方法・対策

  • リテラシー(情報を見抜く力)を上げることが必要だが、時間がかかり、限界もある*16
  • 流言の歴史を学び、騙される疑似体験をすることで、感染しにくくなる*17
  • 救命SOSを拡散するのは有害でありやめるべきである*18
  • うわさの真偽を確かめる「検証屋」が、根拠を示し、わかりやすくまとめ、多くの人に訴えかける*19
  • デマ情報を拡散したことを非難するのではなく、検証情報を共有する態度で接する。見知らぬ人にまでコンタクトする必要はなく、身近なコミュニケーション可能な人と情報共有をすすめる*20
  • Gmailの「添付ファイル忘れ指摘」サービスのように、「チェーンメール指摘」サービスを構築する*21

考察

  • twitterのSOS情報を見て警察に連絡した人が、現状を知らないにもかかわらず通報したとして怒られたとある*22。では、近くのアパートから叫び声が聞こえた場合に警察に通報するのは正当性があるのだろうか。民家の窓から煙が出ている場合は? ゴキブリに驚いただけかもしれないし、テレビの音かもしれない。魚を少し焼き過ぎただけかもしれないし、バルサンたいているだけかもしれない。先に気がついた人がすでに通報しているかもしれない。個人的には、twitter等の情報確度が低い場合であっても、通報行為を非難することは避けたほうがよいと考える。第三者による通報を躊躇するようになっては損失が大きいのではないか(根拠はないけど)。twitterのようなシステムであれば、通報専用アカウントにリプを飛ばすようにすれば、重複は削除できるだろう。重要度の判断は、警察に任せたほうが良いと思う。
  • 噴出流言の場合は、検証情報が出ればすみやかに収まる。インターネット上では1日のオーダーで収束している*23。ある意味、時間が解決してくれるとも言えるし、検証屋が力を発揮したとも言える。噴出流言は対処可能な流言であると言えるだろう。
  • 浸透流言の場合はどうか。もし浸透流言に対処可能であるとすると、ホメオパシーとかはなくなっているんじゃないか。もっと言えば、オカルトや幽霊・妖怪文化のようなものまで。自分にデメリットがないものであれば、「世界の真実を知る」メリットがあるし。何かデメリットがあれば解消されるんだろうけど、周りからの働きかけで生じたデメリットは「世界の真実」感を増幅させるだけだし。地道な情報共有コミュニケーションしかないんでしょうか。

文献

*1:[1]P29

*2:[1]P34

*3:[1]P35

*4:[1]P80

*5:[1]P80

*6:[1]P35

*7:[1]P53

*8:[1]P54

*9:[1]P54

*10:[1]P53

*11:[1]P52

*12:[1]P68

*13:[1]P117

*14:[1]P174

*15:[1]P205

*16:[2]P15

*17:[2]P17

*18:[2]P101

*19:[2]P191

*20:[2]P202

*21:[2]P203

*22:[2]P102

*23:[2]P44