プロジェクタとOHPと紙資料と

プレゼンテーションのやりかたによって、どの方法が1番CO2を出さないのか計算してみる。まずはデータ集めから。
とりあえずCO2原単位は建築学会の産業連関表ベースのが気軽に使いやすいと思う。http://news-sv.aij.or.jp/tkankyo/s0/news.htm
計算の前提はこんなところか?

  • A4資料を10枚
  • プレゼン時間20分(発表10分+質疑応答10分)
  • 出席者20人
  • 機械類は一日平均二回のプレゼンに使って、寿命は10年とする

OHP

それじゃまずOHPでの発表から
OHPシートは材質がPETで、厚さは105μmらしい。A4サイズは210mm×297mmで、PETの比重は1.4ぐらい(?)なので、1枚あたりの重さは、210mm×297mm×105μm×1.4g/cc=9.2gになる。
PET製造のCO2原単位はよくわからんので、建築学会データのプラスチック類が2kg-CO2/kg-製品ぐらいなので、この数字を採用。ってことでOHPシートを作るために出たCO2は、2kg-CO2/kg×9.2g×10枚=184g-CO2
プロジェクタは消費電力350W、重量12kgとする(http://www.mmm.co.jp/vsd/ohp/403_compare.html)。電力の消費原単位は建築学会データから0.564kg-CO2/kWhを使って、350W×20分×0.564kg-CO2/kWh=66g-CO2
プロジェクタを作るのに出たCO2なんてデータはもちろんなさそうなので、建築学会データの電気機器あたりを眺めて、8kg-CO2/kg-製品とする。で、8kg-CO2/kg×12kg=96kg-CO2
でも、プロジェクタは10年間、毎日2回ずつ使う(7300回)ので、1回あたりだと、96kg-CO2÷7300回=13g-CO2
OHPシートを捨てたときに燃やすとすればCO2が出る。PETの化学式は (O-CO-C6H4-CO-O-CH2-CH2)nなので、PETを1kg燃やすとCO2が2.3kg出る。ということで、2.3×9.2g×10枚=225g
ってことで、OHPを使って発表するときに出たCO2は、184+66+13+225=488g-CO2と計算できました。

パソコン使ってプロジェクタ

さてパソコン製造時のCO2排出量も建築学会データから探してみるが、よくわからん。電子計算機本体でいいのかな?だとすれば15.732kg-CO2/kg-製品となる。パソコンはエプソンEndeavor NT7200Proとすると、製品重量が3.04kgなので、15.732kg-CO2/kg×3.04kg=47.8kg-CO2になる。なんでプレゼン用PCごときにこんなハイスペックのPCを想定したかって言うと、エコリーフのデータがあったから(笑)。そっちのデータ(http://www.jemai.or.jp/JEMAI_DYNAMIC/data/current/prodobj-649-pdf.pdf)を見ると、製造段階までのCO2排出量は42.80kg+44.34kg=87.14kg-CO2となっているので、さっきの計算と倍違う。多分建築学会データはデスクトップも含まれてるからなんだろうけど(デスクトップは単位重量あたりのCO2排出量は少ないはず。多分)。とりあえず建築学会のデータを使うことにして先に進む。OHPのときにやったように、パソコンはプレゼンに7300回使うので、1回あたりでは、47.8kg-CO2÷7300回=6.55g-CO2です。
消費電力は76.5Wということなので、これもOHPのときと同じように、76.5W×20分×0.564kg-CO2/kWh=14g-CO2
プロジェクタのほうはキヤノンを参考(http://cweb.canon.jp/projector/hikaku/spec.html)にして、製品重量は3kg、消費電力は250Wとする。製造時のCO2はよくわからんけど、電気機器とパソコンの中間ぐらいで、10kg-CO2/kg-製品?かなり適当。で、10kg-CO2/kg×3kg÷7300回=4.1g-CO2が製造時。電力のほうは250W×20分×0.564kg-CO2/kWh=47g-CO2
パソコンは、プレゼン専用に設置するというよりも、普段は別の用途に使ってプレゼンのときだけ持ってくるという想定をしたほうがいいかもしれないけど、パソコン製造時のCO2排出量は十分小さいので気にしないことにする。エコリーフデータと倍違うことも気にしないことにする。
パソコンとプロジェクタを捨てるときは…多分たいしたこと無いので無視。

紙配り

紙を作るのに出るCO2は 2.829kg-CO2/kg-紙 とする。紙の重さは68g/m2(四六判で58kg)とすれば、一枚の重さは68g/m2×210mm×297mm=4.24gになる。CO2だと、2.829kg/kg×4.24g=12g-CO2です。紙だと全員に配らなきゃならないので、10枚×20人=200枚必要になる。だから、12g×200枚=2400g-CO2となりました。
次に紙を燃やすときに出るCO2を計算する。紙をセルロースで近似すれば化学式は(C6H10O5)nなので、紙を1kg燃やすとCO2は1.6kg出るはず。で、200枚分なら、1.6kg-CO2/kg-紙×4.24g-紙/枚×200枚=1360g-CO2でした。
なんだかずいぶんたくさんCO2が出ているようなので、ちょっと節約することにします。PowerPointだと配布資料は6スライドを1枚に印刷するようですし、さらに両面印刷すれば1枚に12ページ分印刷できます。ってことで、紙は1枚だけ配ればいいので紙の量は1/10に。紙を作るときのCO2は2400g÷10=240g-CO2、紙を捨てるときでは1360g÷10=136g-CO2です。節約節約。

まとめ

上の結果を製造、使用、廃棄段階に分けて表にしてみた。

製造 使用 廃棄 合計
OHP 197 66 225 488
2400 0 1360 3760
紙(節約) 240 0 136 376
PCプロジェクタ 11 61 0 72

グラフにしたのがこっち。紙の贅沢バージョンは突き抜けてる。

今回の計算はかなり適当なので、倍半分の誤差はあると思う。でもそれを考慮に入れてもPCとプロジェクタを使うのが圧倒的によさそうではある。
でもこの三つの方法によるベネフィットはそれぞれ違うので、環境的な側面はPCプロジェクタ使用が良いからと言ってほかの二つが無価値になるわけじゃない。

CO2 プレゼンの特長
OHP × …?
× 書き込みができる、見返しやすい
PCプロジェクタ 資料に動きがつく、派手にできる

うーん、こう考えてみると、OHPはパソコンに淘汰されていくかな?

あと今回はリサイクルについては考えなかったけど、OHPシートや紙はリサイクルのファクターがかなり効いてくるはず。リサイクルについてはまた今度。